2016年3月31日木曜日

大学病院と市中病院どちらがいいのか?

大学病院で研修をしていない自分の意見としてお聞きください。

皆さんは様々な医師になられると思います。

常に最新の治療を発見し、行う医師

病気の新しい治療を研究・開発する医師

commonな疾患も含めて、手技も行いながら治療に携わる医師

皮膚科・耳鼻科・眼科・形成外科・泌尿器科といった外科系手技を学ぶ必要があるが市中では症例が少ない科に進む医師


将来進みたい科が決まっていない人は、
市中病院での研修を勧めます。
世の中の疾病構造を知ることができます。いわゆる「風邪」や、「腸炎」「偏頭痛」といった、commonな疾患をしっかりと診断することができる(検査をしなくても除外することができる)頭の構造を作ることが初期研修では求められていますし、そうあるべきだと思います。
そうした中で、たくさんの症例を経験する中で、自分の興味が2年間でどこへ向かっていくのか考えてみてはどうでしょうか。また、世の中で自分が役に立ちそうな科はなんだろうと考えることもできるのではないでしょうか。専門領域の研修を大学で学びたいと思えば、3年目からでも十分だと感じます。半年早く、カテーテルの手技をやった、内視鏡をやった、それぞれの科で手術に入ったとしても、10年のスパンで見てそれほど大したことではないと思います。それよりも、なぜ、その手技が必要なのか。その侵襲的な検査を選択しないといけないのかを「考える力」を養うことの方が大切ではないでしょうか。一朝一夕ではないかもしれませんが、その「考える力」がベースにしっかりあることが大前提で手技を学ぶ必要があると思います。

将来進みたい科が決まっている人は、
なおのこと市中病院での研修を勧めます。
唯一、家庭医やクリニックベースで将来働く。そのために後期研修もクリニックベースの研修プログラムに進みたい!と思っている人は、大学病院での研修を勧めます。
なぜなら、いろいろな科をローテーションしてそれぞれの専門科の医師から直接学ぶことができるのは初期研修医のときぐらいしかないからです。
 例えば、泌尿器科に進みたいと思っている人は、3年目以降症例をたくさん積むためにはやはり大学への入局が必要になると思います。症例が集まるからです。そこで稀な疾患も含めて病気に対するアプローチや手術の勉強が必要になります。そして、専門医試験に通ったあと、市中でcommonなものも診つつ、手術を行う医師となるか、細分化された領域での研究を進めていく医師となるか自分での選択となると思います。そうすると、泌尿器科領域以外の疾患に対する勉強はいつ学ぶか?
 初期の2年しかないのです。風邪、しかり腸炎。これらは確かに自然に治ることが多いので特に治療介入は必要ないかもしれませんが、むやみやたらに抗生剤を出すような不必要な医療介入をしてしまう医師になってしまうかもしれません。虫垂炎や心筋梗塞、胃潰瘍といったcommonだけど手術や、治療介入が必要な疾患を鑑別に挙げれないかもしれません。自分が泌尿器科の担当患者さんが、みぞおちあたりが痛いといったときに、消化器科へ紹介するのか循環器科に紹介する必要があるのか(心筋梗塞や狭心症を考慮して)考えられるかどうかは2年間の経験しかありません。回り道には絶対ならないと思いますので、考えてみてください。


 家庭医や総合診療科といった科に進みたいと思っている人は、
先ほどとは逆の立場で大学で行われている最先端の治療や研究について知っておくと将来の自分の診療にとても役に立つと思います。自分が普段診ている患者さんが、とても稀な疾患であった。紹介した先ではどのような検査や治療をするのか、イメージがわくと思います。また、どのような流れで診療が進むのかを患者さんに説明できるというのはとても大きいと思います。

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